少女はこの街に希望を抱いていた。
これから沢山の新たな営みが紡がれるであろうこの街がよいものになる様に、必死に努力した


薬を飲むのはあまり好きではなかったし、繰り返されるテストは大変疲れるし、今まで随分苦労したけれど。
それでもこの街に希望を抱いていたのだ。


ちょっとずつ発展していく街を眺めるのが好きだった。
自由に歩き回れることはなかったが、それでもいっとう見晴らしの良い少女のための特等席から眺める景色が好きだ。

青空が戻ることは、恐らくもうないけれど。
鈍色の空だって、慣れればそう悪いものではない。


少女はこの街に生きる人々が好きだ。
困難に直面しても、必死に活路を見出して足掻く人の一生懸命さが好きだ。

寄り添いあい、家庭を築き、手を取り合って生きる人たちのなんと愛しいことか。


幾人も見送り、幾人も迎え。
命の螺旋を見守ることが、何よりも少女の糧となる。


けれど。


少女は静かに眉をひそめる。
今まで必死に踏みとどまっていたが、もう限界かもしれない。

時間がない。……彼らが間に合えばいいのだけれど。


新たな希望に繋ぐために、自分にできることなら何でもしよう。
それが少女の存在意義なのだから。

たとえこの想いが意図的に育まれたものだとしても。
少女はそれでもよかったのだ。